中学校 社会【安土桃山〜江戸時代を振り返ろう】
横浜市立寛政中学校 水山哲之介
大まかな授業の流れ
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生徒の思考の流れが、「拡散→収束→再拡散→再収束」となることを意識して授業作りをしました。
ウェビング、熊手チャートを「拡散」に用い、PMIチャートやキャンディーチャートで分類や整理などの「収束」をしています。
題材は、「歌川芳虎」が描いた餅つきの絵を用い、そのもととなった落首を切り口に授業を展開しています。
安土桃山時代(織田、豊臣)、江戸(徳川将軍家)の取組を総復習するとともに、その2つを比較しながら、
「織田がつき 羽柴がこねし天下餅 座して食らふは 徳の川」という落首を捉え直してみることを目的としています。
徳川については、政策などの「事実」と、この落首のような「物語」との相違点に着目することで、そのような物語の創作がなされた背景についても考え、考えを深める学習課題として位置付けています。
展開1
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絵と落首を提示するとともに、学習課題も提示する。
ウェビングとベン図を使って、織田・豊臣の取組を整理し、振り返る。
展開2
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江戸幕府の政策を熊手チャートで書き出す。
制作の内容を、「よかったもの」「イマイチなもの」「どっちかわからないもの」に分類する。
ツールをキャンディーチャートに切り替え、「江戸幕府が長く続いた」ことと関係の深そうなものをリストアップし、
その理由についても述べる。
展開3(この授業案のピークとなる活動)
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展開1で示した落首のうち、徳川に関わる部分を授業内容を踏まえた上で、考えて書く。
提出箱に提出し、回答を共有する。小グループ等に分かれて、自分の文章について理由も含めて説明する。
共有されたもののうち、良いと思ったものを3つまで選び、そう考えた理由をつけて提出する(投票する)。
(この時投票紙として、内容の整理をするためにキャンディーチャートを使う)
展開4(再拡散の部分)
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徳川幕府の諸政策の存在にもかかわらず、「座して食らふ」という批判を込めた絵が描かれた理由を考える。
展開2で用いたPMIチャートをもとに、批判につながりそうな理由を抽出する(または新たに考える)。
批判の理由をキャンディーチャートで整理。最終的に、「どのような立場の人が描いたと考えられるか」について触れる。
調べてわかる徳川幕府の「事実」と、創作された「物語」とのギャップについて触れ、「長続きした江戸幕府」を多面的に
捉えることを通して、一つの事象について多角的に考察する力を養う。
展開5(おまけのようなもの)
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江戸幕府の政策のうち、「比較的成功したと考えられる」ものを参照としながら、明治政府が実施したと思われる政策について、考えてみる。
実際は、明治へと引き継がれている政策はあまり無いことが今後の授業の中でわかってくるので、その点については江戸と明治の政策の比較などを通して、その背景にあるものについて思考を深めていくきっかけとする。